新感覚の昔話ミステリー!「むかしむかしあるところに死体がありました。」

出典:版元ドットコム 読書案内

2020年本屋大賞ノミネートを果たし、書店でもよく見かける青柳碧人(あおやぎ あいと)さんの著書。ショッキングなタイトルにインパクトのある表紙もおもしろく、興味をそそられて読んでみました。

読書メーター

本の特徴や難易度を示します。参考になさってください。

読みやすさ上級者・・・・★初心者
文体硬い・・・・★軟らかい
ロマンスNO・・★・・YES
ドキドキハラハラNO・・・★・YES
年齢若者向け・・★・・大人向け
筆者個人の感想です。

昔話という誰もが子どもの頃に読んでもらった題材をミステリーに仕上げており、初心者でも本好きさんでも楽しめるお話です。昔話ってこんな見方もあるのか!と気づかされます。5つの昔話を扱った短編集で、気楽な気持ちで推理しながら読むと楽しいですよ♪


一寸法師の不在証明

右大臣の娘・春姫が鬼に襲われそうになったところに、一寸法師が駆けつけ、鬼を退治しました。鬼が持っていた、物を大きくすることができるという打ち出の小槌で体を大きくし、春姫と結婚しました。

…ところが、一寸法師が鬼退治をしている頃、別の場所で冬吉という人物が殺されるという事件が起きていたのです。そして、その犯人が一寸法師ではないかという疑いがかけられます。しかし、一寸法師には鬼退治をしていたというアリバイがあります。一体どうやって冬吉を殺したというのでしょう?そして、本当に犯人は一寸法師なのか…?

花咲か死者伝言

このお話は、花咲かじいさんが飼っていた犬・次郎の目線で描かれている点がおもしろいです。次郎は、もともとおじいさんが飼っていた犬の2代目という設定です。
優しくて、誰からも好かれる花咲かじいさんが、殺されているのを次郎が発見します。おじいさんの手にはぺんぺん草が握られていました。それは、おじいさんからのダイイングメッセージでした。一体、おじいさんは最後の瞬間に何を訴えようとしていたのでしょう…?

犯人は意外な人物でした。なんと恐ろしい…

つるの倒叙(とうじょ)がえし

庄屋に借金を返せと迫られ、思わず庄屋を殺してしまった弥兵衛。死体を部屋の奥に隠します。そのとき、「一晩泊めてほしい」という女性・つうが現れます。つうはお礼に反物を織ります。それは高値で売れ、弥兵衛はお金持ちになっていきますが、お酒に溺れ、つうに辛くあたり、別の女性と結婚すると言います。

最後は、かわいそうなつうの逆転劇にハッとさせられます。読み返さずにはいられない、技巧が凝らされた物語です。


密室竜宮城

いじめられていた亀を助けた浦島太郎は竜宮城へ招待されました。そこには、美しい乙姫様と海の生き物たちが暮らしていました。そんな美しいところで密室殺人が起こります。伊勢海老のおいせが殺されてしまい、浦島太郎が事件解決の依頼を受けます。

人間界とは時間の流れが異なる竜宮城という特異な世界をうまく利用したミステリーです。

絶海の鬼ヶ島

悪い鬼を退治しに桃太郎は鬼ヶ島へ行き、仲間たちとともに戦って無事目的を果たします。「絶海の鬼ヶ島」はここから始まります。生き残った鬼たちは、桃太郎を恐れ、人間に近づかないように静かに暮らしていました。
ところが、島で鬼が殺される事件が発生。犯人探しが始まりますが、次々に犠牲者が出て鬼たちは狂乱状態に陥ります。一体、犯人は誰なのか、殺人(鬼)を繰り返す理由は何なのか、もしかして桃太郎が鬼退治に戻ってきたのか…?

「桃太郎」を鬼の目線で考えたお話でおもしろいです。


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