『傲慢と善良』:人の心に潜む傲慢さと「良い人」を鋭く描き出す

読書案内

恋愛において「人を選ぶ」という行為は当たり前のことですよね。例えば、告白されて受け入れるのか断るのか、その判断をするとき、人は無意識に「この人は自分と釣り合うのか」ということを考えていると思います。そこには、相手を自分より上か下かあるいは同じかと「値踏み」するような感覚があると思います。そういった、誰の心にもある傲慢さをあぶり出したような作品です。

読書メーター

本の特徴や難易度を示します。参考になさってください。

読みやすさ上級者・・★・・初心者
文体硬い・・・★・軟らかい
ロマンスNO・・・★・YES
ドキドキハラハラNO・★・・・YES
年齢若者向け・・・★・大人向け
筆者個人の感想です。

やっぱり辻村さんの小説はおもしろい!「心に刺さった!」と高評価を得ている作品ですが、たしかにおもしろいかったです。
この小説は、婚活アプリで知り合った男女の物語。恋愛・結婚を中心に、親子関係や世間体など多くのテーマを含んだお話でとても考えさせられる内容です。ぜひ多くの方に読んでもらいたい作品です。

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傲慢と善良 (朝日文庫) [ 辻村深月 ]
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登場人物

西澤架(にしざわ かける):39歳、父親から小さな会社を継ぐ。元カノのことをかなり引きずりながらも婚活を始め、婚活疲れになりながらアプリで真美と知り合う。

坂庭 真美(さかにわ まみ):35歳、臨時県職員を経て上京し、英会話教室で事務として働く。両親のすすめもあり結婚相談所を利用したがうまくいかず、実家を出て東京で一人暮らしを始め、婚活アプリで架と知り合う。

あらすじ

婚約者が失踪

物語の前半は架の視点で進んでいきます。婚約者・真美が行方不明になり、架は警察や真美の家族に助けを求めます。真美が失踪前にストーカー被害に合っているということを言っていたので、架は警察にストーカーにさらわれたのではないかと訴えますが、警察にはストーカーについての情報がまったくない以上できることはないと言われてしまいます。

次第に見えてくる真美の過去

架は、真美のストーカーの話を聞き流していたことを後悔します。少しでもストーカーの情報があれば警察が動いてくれると考え、真美の故郷・群馬に向かい、真美の両親や姉、真美が利用していた結婚相談所やそこで知り合った男性と会い、真美の行方を探します。

そうしているうちに、次第に真美の過去と対峙することになります。どのような家庭環境で育ち、架と知り合うまではどのようなことをし、どのような考えを持っていたのか…

おわりに

真美はとても「良い人」です。多くの人に愛される善良な人・清く正しい人というタイプです。
反対に、架やその友人たちは逆のタイプ。悪賢さを持ち、世の中を渡っていく力のある人たちです。
この2つを対比しながら、誰の心にも存在する「傲慢さと善良さ」を鋭く描き出した作品です。「こういうとこあるある!」と共感する部分が多いと思います。自分の心を見つめなおさせられる作品ですので、ぜひ読んでみてください。

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