憂鬱な気分の日に読みたい：『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』

忙しい日々に追われ、ストレスが溜まっていませんか？あるいは、悲しい出来事があって、落ち込んだり。そんなときにおすすめしたいのが『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』という本です。

隠れ家のような小さなカフェ・喫茶ドードーは夕方から開店します。おもしろいのは「お一人様専用カフェ」であること。ちょっと変わった店主がおいしいコーヒーやサンドイッチを作ってくれます。

読書メーター

本の特徴や難易度を示します。参考になさってください。

筆者個人の感想です。

登場人物たちは皆、ちょっとしたモヤモヤを心に抱えています。コロナ禍で流行りだした「丁寧な暮らし」に疑問を抱く人、夫婦のあり方に疑問を抱く若い女性、責任ある立場で仕事に猛進する女性など。
現代社会における問題をテーマに、「これってどうなの？」というちょっとした疑問に焦点を当てた作品。

ちょっと疲れた日に、ブルーな気分の日に、喫茶ドードーを訪れてみてください。

自己肯定力を上げるやかんコーヒー

最近、SNSなどでよく目にする「ていねいな暮らし」という言葉。第一話の主人公・小橋可絵（こばしかえ）は、SNSでフォローしているsayoという人物の「ていねいな暮らし」に憧れています。同じ商品を買ってみたり、講座に参加したりとしますが、失敗して自己嫌悪に陥ってしまいます。

喫茶ドードーを訪れた可絵に店主が出したコーヒーはどんなコーヒーでしょうか…

学習塾で働く多加良世羅（たからせら）は一緒に暮らす彼・凌（りょう）がいます。2人は選択的夫婦別姓制度ができるまで入籍はしないと決めています。ジェンダーギャップや女性の生き方について敏感な世羅。世代によって感覚が異なるテーマですが、共感できる読者も多いのではないでしょうか。

雑貨店で店長を務める50代の緒川小夜子（おがわさよこ）。ベテラン社員で会社からの信頼も厚く、店舗スタッフからも慕われています。バリバリ働く小夜子ですが、スタッフの病欠などが重なり、小夜子自身も体力の限界になってしまいます。

これまでの働き方が変わりつつある現代社会を見つめなおすお話です。

美容師として働く谷彩花（たにあやか）は、お客さんの悩みや要望を聞き、お客様第一で頑張る美容師です。コロナ禍でも安心して利用してもらえるように気を配ります。でも、クレーマーのような難しいお客さんもいて、心にストレスが溜まっていきます…

たまには、心に溜まったものを吐き出さないといけませんね。喫茶ドードーの店主が彩花に提供したものは何だったのでしょうか。

磯貝睦子（いそがいむつこ）は、70歳を間近に控えたベテランのテキスタイルデザイナー。これまで多くの商品を世に送り出し、人々の人気を獲得してきました。しかし、目の衰えを感じ、仕事を続けられるか不安を抱き始めます。そんなとき、喫茶ドードーを訪れ、仕事との向き合い方のヒントをもらいます。

最後の章には喫茶ドードーの店長・そろりさんがなぜこのカフェを始めたのかの理由が描かれています。悩みを抱えた人を受け入れてくれるような優しいそろりさんですが、実はそろりさん自身も暗い過去があったようで…

目まぐるしい毎日にストレスを感じ疲れてしまうことは誰にだってあります。そんなときにこんなカフェあったらいいなぁと思います。
ほっこりひと休みしたいときにおすすめの本です。ぜひ読んでみてください♪