実際にあった事件を題材に書かれた柚木麻子さんの著書です。
格別美しいというわけでもない梶井真奈子は、結婚詐欺で男性たちから金銭を奪い殺害した罪に問われています。拘置所に拘留された身でありながら、主人公とその周囲の人々を惹きこみ操っていきます。
読みやすさ | 上級者 | ★・・・・ | 初心者 |
文体 | 硬い | ・★・・・ | 軟らかい |
ロマンス | NO | ・★・・・ | YES |
ドキドキハラハラ | NO | ・・・★・ | YES |
年齢 | 若者向け | ・・・・★ | 大人向け |
なかなか骨のあるお話で上級者向けですが、評価の高い小説ですので興味があれば一度読んでみてください。
登場人物
- 町田 里佳(まちだ りか):雑誌記者。梶井真奈子に会ううちに、のめり込むように惹かれ周囲の人々をも巻き込んでいく。
- 梶井 真奈子(かじい まな):首都圏連続不審死事件の被告人として東京拘置所に拘留されている女性。婚活サイトで知り合った男性たちから金を奪い殺害したとされている。料理に対する執念がすごい。
- 伶子(れいこ):里佳の親友。結婚し妊活のために会社を退職。料理や掃除など家事は完璧で、何事においてもストイック。
あらすじ
雑誌記者である里佳は、梶井真奈子の独占インタビューを取ろうを試みます。親友・伶子の提案でうまく梶井との面会を取り付けますが、会ううちに梶井の不思議な力に惹かれていきます。食に強いこだわりを持つ梶井に「あのレストランのあれを食べろ」「マーガリンではなくバターを食べろ」などいろいろな指示を受け、里佳は梶井真奈子という人物を知るためにその通りに行動していきます。
注目ポイント
人々を惹きつける梶井の魅力とは何なのか
梶井真奈子は格別容姿が優れているわけではありません。性格もとても良いということもなく、人を見下すようなところがあったり、感情的に怒ったり、特別魅力的な女性というわけではありません。しかし、結婚詐欺により3人の男性を欺き、金銭を奪い、殺害したとされています。
彼女を取材するうちに里佳や伶子もどんどん惹かれていき、操られるかのように梶井に魅了されていきます。一体、彼女の魅力とは何なのでしょうか…
女性像
この小説は、女性に焦点が当てられています。主要な登場人物である里佳や梶井真奈子のほかに、伶子や里佳の母親、職場の先輩など、女性の登場人物たちに注目してみてください。いろいろな生き方があるなと思います。
おわりに
実際に起きた事件をベースに書かれているので、その事件についても興味がわくお話です。
描写が非常に細かくなかなか話が進まないので上級者向けの小説だと思いますが、男女の関係であったり、女同士の友情であったり、女性の生き方であったり、いろいろと考えさせられるお話です。
コメント